JRA(日本中央競馬会)やNAR(地方競馬全国協会)などの主催団体が、海外所属の騎手に対して自団体の主催競走で騎乗するための免許を期間限定で交付することがあり、これを短期騎手免許(以下短期免許)という。対義語は通年免許。
海外騎手が騎乗する機会は以下の3つが考えられるが、ルール上短期免許として扱われるのは3番目のみであり、1・2は便宜的に「競走限定免許」などと称される。1・2においても同週の他の競走で騎乗することは認められており「エキストラ騎乗」などと呼ばれる。
なお、国内の地方所属騎手が中央主催競走で騎乗する事例は外見上1・2と類似するが、こちらは指定地方交流競走に係る規定に基づいて認められる行為であり、海外騎手とは根拠となる規則が異なるため細部のルールにも差が生まれる。
JRA競馬施行規程60条は中央と地方の間で適用されるルールであり、上記の2に関して海外騎手が得られる免許は対象が異なる(おそらく指定交流競走などへの限定は無関係)と思われるが、筆者が規則の文言を発見できていないので謎。
海外の騎手が日本に一定期間滞在して日本の競走で騎乗する事例は、戦前の中央競馬統合前から散発的に見られたが、現在の短期免許制度は1994年に始まったものである。
JRA・NARはそれぞれ通常の免許試験とは別に、海外騎手からの申請を受けて随時臨時試験を行い、騎乗能力や学力、素行などを審査して適当と認められれば免許を交付する。平地と障害とで別々の免許が発行されるのは日本所属騎手と同様である。
JRAの場合、申請期間は騎乗開始日の60日前からで、毎週木曜日を申請の締日とする。内規で同日に短期免許期間中である海外騎手は合計5人までと定められており、締日の時点で枠が埋まればそれ以降は申請できなくなる。締日までに6人以上から重複する申請があった場合はJRAが騎乗実績などを審査、選考を行う。なお、秋後半~年末を免許期間とする申請は数が多くなるためか、別枠で秋の早い時期に締切日を設定する場合がある。
受験資格には以下のように、年齢や処分歴などの一般的な事項のほか成績要件が存在する。前者に関してはJRA競馬施行規程44条で明文化されているが、後者については規則文書として公開されてはおらず、内規改正で要件が変更された際にマスメディアが報じる内容などから汲み取ることしかできないため、細部の数字などが正確であるとは限らない。
外国で騎手免許を受けている16歳以上の者であること
来日予定の時期が短期免許の発給制限(後述)の期間内でないこと
以下の成績要件のいずれかを満たすこと(女性のみの要件は2021年追加)

表の制作:が茶氏
免許を交付されている国・地区における「前2年(シーズン)以内」のいずれかのシーズンで、騎手リーディングにおいて指定以上の順位にあること
基準は上表のとおり。国・地区によって異なるほか、女性騎手については女性騎手リーディングに基づく要件が追加され、従来より門戸が広くなっている。
オーストラリアでは主催団体が州ごとに分かれており、それぞれのリーディングに従って判定がなされる。「メトロポリタン競馬」とは各州の都市部にある主要競馬場で施行されるレースを指し、そこでのリーディングは州全体でのものよりレベルが高くなる。
アメリカの主催団体はほとんど競馬場単位で分かれており、勝利数による公平なリーディング順位の算出は望むべくもない。重賞の賞金については統一された最低基準が定められているためか、賞金リーディングでの評価となっている。
リーディングの認定期間については、免許申請が行われた年を起点として計算される。例えば2024年1月の開催初日から騎乗する場合、申請はまず間違いなく前年のうちに行うことになるため、2023年の2年前=2021年のリーディング順位までが参照範囲に含まれることになる。
当該年または過去2年間に、指定G1競走を通算2勝以上していること(女性はインターナショナル・カタロギング・スタンダーズのパートⅠに定めるG1競走に優勝していること)
ここでの指定競走とはJRAの平地GⅠ競走のほか、ジャパン・オータムインターナショナル(以下JAI。ジャパンカップ、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、チャンピオンズカップの4競走)において褒賞金の交付対象馬を指定する際に用いられるリストの掲載競走と同一のものとされる。
上記のリストを国別にまとめ直すと以下の通りになる。有力国際G1では香港国際競走がまるまる省かれることになるがそれでいいのか。
男性の対象競走が81レースなのに対し、女性は2023年時点で447レース(国際G1のすべて)から選べることになる。